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歴史・懐石料理

「伊勢錦の歴史」

日本から江戸時代の匂いが完全に消えた明治十四年、氷川神社門前に伊勢錦は誕生しました。 近くには平安時代に編さんされた延喜式神名帳に記されるほどの 伝統のある格式高い神社、氷川神社があります。

初代戸辺きんに始まり綿々と受け継がれてきた伊勢錦の味は、時代に精通する4代目戸辺義郎が茶懐石料理の店として趣向を大きく変えます。 そして平成十五年、五代目当主戸辺一郎は、茶懐石の真髄に近づくべく、日夜研鑽の末、4年後の平成十九年、お料理だけでなく、店構え、お部屋、調度品にも 懐石料理の真髄である『もてなしの心』を施した新しい伊勢錦のお目見となりました。 時代に逆らうかのように、黒塀で囲まれた店は、一歩足を踏み入れた瞬間、別世界へいざないます。訪れた方に忘れかけていた、ゆったりとした時の流れを堪能していただきたいと考えております。氷川さんには遠く足元にも及びませんが、地元の皆様に愛され、創業百二十年を迎えます。

「懐石料理とは」

懐石とは字の通り、ふところに石を抱いてほのかなぬくもりを肌に感じ、いっときの空腹をしのぐという戒律の厳しい禅の言葉からきています。 それが茶の言葉となって、茶事のおり客人に茶を立ててもてなす際に、 茶席で出すごく軽い料理を懐石料理と呼ぶようになりました。

懐石には茶道の精神から、料理にはもてなしの心を最高に発揮するように細かい心くばりの約束があります。四季折々の旬の材料だけで献立を作り、材料の持つ色、形、香り、味を重んじて、これを素直に生かす。そして切れ端までけっして粗末に扱わない簡素な心を守る態度、 季節の寒暖にかかわらず、温かい料理はあくまでも温かく、冷たいものは、それを盛る器まで十分に冷たくして供するなど。格式ばった料理に思えますが、こうした心がまえ、客人をもてなす心くばりを大切にした料理です。もてなす心くばりを念頭に、先人の築いた伝統を守りつつ創意工夫の精神をもって、伊勢錦の懐石料理を創りあげていきたいと思っております。

伊勢錦五代目当主
戸辺一郎



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